自動車・運転免許

ADHDは免許を取得出来ても、なぜその後の運転に苦労するのか

私は大人になってからADHDと診断されたんですが、運転免許を取る時よりも取った後の方が苦労しました。

  • ADHDでも運転免許を取れるのか?
  • ADHDで運転免許を既に取った人のその後の話を聞きたい!

という人のために、大人ADHDの私が運転免許をとった時の様子・ペーパードライバー後の運転の変化をご紹介します。

ADHDは法律的に運転免許を取れる?取れない?

ADHDと診断されていても、運転免許を取得することは出来ます。

ただし以下のような場合は、運転免許の拒否または保留されたり、運転免許の取り消しや効力の停止を受ける場合もあります。

ADHD以外にも病気を併発している人は注意が必要です。

 

運転免許の発行が出来なかったり、取り消しを受ける場合があるケース

 

運転免許を拒否又は保留される場合

1.介護保険法第5条の2に規定する認知症

2.アルコール、麻薬、大麻あへん又は覚醒剤の中毒

3.幻覚の症状を伴う精神病であって政令で定めるもの
政令では、統合失調症(自動車等の安全な運転に必要な認知等に係る能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈しないものを除きます。)が定められています。

4.発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの
政令では、次のものが定められています。
ア てんかん(発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除きます。)
イ 再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいいます。)
ウ 無自覚性の低血糖症(人為的に血糖を調節することができるものを除きます。)

5.3及び4のほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
政令では、次のものが定められています。
ア そううつ病(自動車等の安全な運転に必要な認知等に係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除きます。)
イ 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
ウ そううつ病及び睡眠障害のほか、自動車等の安全な運転に必要な認知等に係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気

引用:警察庁

 

免許の取消し又は効力の停止を受ける場合

1.運転免許を拒否又は保留される場合の1から5までに掲げるもの

2.目が見えないことその他自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある身体の障害として政令で定めるもの

3.政令では、次のものが定められています。
ア 体幹の機能に障害があって腰をかけていることができないもの
イ 四肢の全部を失ったもの又は四肢の用を全廃したもの
ウ その他、自動車等の安全な運転に必要な認知又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるもの(運転免許に条件を付することにより、その能力が快復することが明らかであるものを除きます。)

引用:警察庁

また、各病気等に係る運転免許の可否等の運用基準は、こちらを確認してください。

 

実際に筆記試験と技能試験で合格できるかは別問題

ADHDと先ほど挙げた病気を併発していない場合は、運転免許証を取得できるとわかりました。

しかし免許証を取得するまでには、教習所での筆記試験・技能試験、運転免許センターでの本試験をクリアしなければいけません。

ADHDでも運転免許の取得は可能でも、あくまで取得できるか出来ないかは本人次第だということを頭の隅に入れておいて下さいね。

自動車教習所は教習開始から9ヶ月に以内に教習を修了(卒業)する必要があり、教習所での卒業検定合格後一年以内に各都道府県の運転免許センターで学科試験を受けて合格する必要があります。

頭に詰め込んだ学科の内容を忘れないうちに、本試験に挑みたいところですね。

 

仮免許2回目・卒業検定と本免許を一発合格したのちに、ADHDとわかった私の場合

大人になってからADHDと診断された私が、ADHDとわかる前の学生の頃に自動車教習所に通い、本試験に合格するまでにはこんなことがありました。

 

仮免許の技能試験で一度落ち、卒業検定ではギリギリ合格

教習所内で行う仮免許試験の技能試験、S字クランクで脱輪しました。

脱輪しても、バッグして切り返して前進であればセーフだったと後から指導員に聞かされましたが、そのまま前進して不合格。

追加料金を払って、補習と再検定をして2回目で合格。

 

卒業検定に至っては、最初にコースを覚える時に信号の数を数え間違えるミスをしました。

本来は右折しなければいけない交差点で直進方向にいて、直前で曲がらなければいけないと( ゚∀ ゚)ハッ!と思い出した私。

右折しようとしていた後続車そっちのけでウインカーを出し、半ば無理やり右折。

コースは間違えていないからと丸を貰いましたが、「直前の右折は危なかった。信号機の数え方は目の前の信号機をカウントしないようにするとスムーズに行く。気をつけて」と注意を受けました。

筆記試験は本免許含めて一発クリア

私の場合、筆記試験に関しては、覚えられずに不合格だったということはありませんでした。

学生の夏休みで、免許を取ることだけに集中できたからということも大いにあるかもしれませんね。

 

また私の地元ではありませんでしたが、嫁ぎ先では免許センターのすぐ隣にいわゆる『闇校・裏校』と呼ばれる運転免許塾がありました。

そこでは、『自動車教習所を卒業→試験当日の夜の3時頃から運転免許塾で勉強→そのまま免許センターで本試験を受ける』という暗黙の了解のような一連の流れがあるようです。

ただ、本試験は住民票のある都道府県の免許センターでしか受験出来ません。

実技試験より筆記試験の方が不安だという方は、事前に住んでいる地域に運転免許塾があるか調べておくのもいいかもしれませんね。

 

MT(マニュアル車)でも免許は取れたが、ADHDの人はAT(オートマ車)を選ぶのが無難

私はMT(マニュアル車)の免許を取ったんですが、その理由はズバリ「スポーツカーに乗りたかったから」!!

 

自動車教習所では何とか卒業検定も乗り切り、MTで免許は取れましたが、マニュアル車のギアチェンジの操作が、それこそADHDの苦手とする同時作業だったんですよね。

アクセル(足)・クラッチ(足)・シフトレバー(手)、同時に使いますもんね。

仮免許を取得し一般道を走る頃になっても、ギアチェンジのタイミングがわからなくてメーターの振れ幅を見ながら何とかやっていたんです。

でも指導員から「それではいけない!」とメーターを紙で隠されて、音でギアチェンジのタイミングを計るようにと言われたりもしました。

ブレーキを踏むとまた一番初めからギアを上げていかなければいけなくなるので、ブレーキを踏むのが嫌で嫌で。(MTにしたことを後悔)

当時は出来るだけブレーキを踏まないように、踏まないようにとあがいていました。笑

 

MTで免許を取ったものの、今はAT(オートマ車)しか乗りませんし、正直MT(マニュアル車)の運転方法もほとんど忘れてしまいました。

初めからATなら教習に通う期間も短いし、金額もMTに比べると安いです。

仕事で使う社用車も、『AT限定不可』という記載も少なくなっているように感じます。

ADHDが自動車免許を取るなら、AT(オートマ車)一択です。

 

約10年のペーパードライバーののちに運転したときの変化

専門学校の時に運転免許を取ったもののほとんど運転することなく、都市部に就職をしたため、運転免許証は身分証明書と化しました。

その後、結婚・出産し田舎に移り住み、生活の足に車が必要になったので約10年振りに運転を再開。

約10年振りの運転ということで、自動車教習所でペーパードライバー講習を2時間(1日1時間×2回)受けました。

同時に、運転免許を取った時には感じなかった違和感を運転中に感じるように。

これは恐らくADHDによるものだと思います。

 

空間認識能力(空間把握能力)に乏しく、車幅の感覚が掴みにくい

車を乗る上で一番厄介だったのは、車の左右の幅・前後の幅の感覚が掴みにくいことでした。

ペーパードライバー教習でのバック駐車の際もボロボロで、指導員には「無理にバックして入れないで、頭から突っ込んで駐車したら」と言われる始末。

旦那に相談しても「徐々に慣れてくるよ」と言われましたが、なかなかでした。

 

左右の駐車スペースに車がおらず、後続車もいない焦らない状態で、自分のペースでバック駐車出来るようになったのが、ペーパードライバーを脱してから3~4年目のことです。

車体の大きい車は感覚が掴めないので、私が乗れるのは基本的に軽自動車のみ。

ADHDは運転不注意や事故が多い傾向にあります。

不用意な事故を防ぐためにも、車を購入する際は小回りも効いて車体も小さい軽自動車をおすすめします。

 

運転中にぼんやりしてしまう

ナビを見ながら運転しても・しなくても、長時間の運転になると運転しながら心ここにあらずというか、ぼんやりしてしまうことが多いです。

気を抜くとすぐにボーッとしてしまって、道を間違ったりすることがあるので、知らない道では特に注意散漫にならないように気を引き締めて運転しています。

 

ADHDの人が車の運転を仕事にすることは可能なのか

私の話になりますが、一度複数の子供を自宅まで送迎する仕事をしたことがあります。

運転していた車は、軽自動車から7人乗りくらいの大きな車まで様々あり、どの車に乗るかはその時にならないとわからない状況でした。

特に大きな車で、車幅の狭い道路を走らなければいけない時はヒヤヒヤもの。

大きな車を切り返ししている途中に、本当に小さい凹みですが、2度ほどリアハッチ(トランクのドア)部分をぶつけてしまったことがありました。

(どこぶつけたの?と近くでよ〜く見ないとわからない程度の凹みだったので、お咎めなしで済みましたが)

 

実はこの前後に、自分の所有している車で自損事故を起こしていたんです。

もし仕事で子供達を乗せている状況で、これ以上の事故が起こったら責任が取れるのか?

それは無理だということで、送迎の仕事は結局辞めてしまいました。

ADHDだから「こうだ!」とは決めつけられませんが、運転に不安があるなら車の運転をする仕事は控えた方が無難です。

 

それでも田舎なので

  • 仕事先への移動手段として
  • 買い物に行くため
  • 家族でお出かけ

という時は、軽自動車を運転していますよ。

 

まとめ

ADHDでも(当時自分がADHDだと知らない状態でも)運転免許を取ることは出来ます。

ただ、一度ペーパードライバーの期間を挟んでしまうと、車幅の感覚を戻すのにすごく時間がかかるように感じました。

 

またADHDは事故を起こしやすい確率が高いので、任意の自動車保険には必ず加入しておきましょう。