32歳の時にADHDと診断された私は、実際に周りの人にカミングアウトしました。
- 『ADHD』と診断されたけれど、会社に・家族に・友人にカミングアウトした方がいい?
- 理解される?理解されない?どんな反応をされるんだろう?
という人のために、カミングアウトするべきかしないべきかを踏まえて、自身の体験談を紹介します。
目次
自分がADHDとわかるまでの経緯
当時私は、高齢者向けのインターネット教室でパートとして働いていました。
WordやExcelなどパソコンの知識を教えながら、利用者さんが飽きないようにそれぞれ月1回の趣味のクラブの企画や月末のポスティングなど、面接では一切知らされずハローワークにも記載されていないことばかり。

早々に手芸クラブの担当を任され、自宅に持ち帰りながら毎月の企画や段取りを考え、WordやExcel・PowerPoint・プログラミングなどの教科書を覚える毎日。
夜ご飯が終わったら、すぐに自室に籠り勉強。
もちろん日曜日も返上で、2ヶ月近く子供と一緒に遊ぶ暇さえないくらい教科書とパソコンをにらめっこしていました。
それなのに翌朝仕事に行けば、まだ覚え切っていない内容を利用者さんに質問され、先輩や上司に何度も聞くハメに。
「家に帰ってこんなに勉強しているのに全然わからん…」と、後から後からボディーブローのように効いてきました。
そんなある日、自分の中で「もう無理だ」と何かが弾けました。
「何ヶ月も頑張っているのに、ほとんど覚えられない…」
「自分はどこかおかしいんだろうか?」
今までだったら、すぐに『仕事を辞める』という選択肢を選んでいました。
それでも今回は、根本的な原因を知りたいと思って病院を受診することに。
仕事が休みの日に、意を決して自宅近くの精神病院に予約なしで朝イチで駆け込み、ADHDと診断された次第です。
カミングアウトすることを選んだ理由
じつは当時の私には「ADHDと診断されたことを言わない」という選択肢は、ありませんでした。
私がカミングアウト一択になった最大の理由。
それは私が一番初めに仕事についた縫製の仕事で、うつ病になりながらも、同僚には一切カミングアウトせずに働いている先輩がいました。
同僚たちは、その人がうつ病で通院中なんて知らないから、本人に聞こえるように悪口を言う始末。
私も自分では頑張っているつもりでも、出来ていないかもしれない。
わからなくて上司や先輩に聞く度に、「もうこんなに経つのに、そんなことも覚えていないの?」と、いつ言われるのか怖くてたまりませんでした。
仕事に支障をきたす前に、「自分はADHDで苦手なことがたくさんある」と伝えてしまった方が良いのかもしれない。
という思いと、すべてを話したら、みんな理解してくれると思っていました。
自分がADHDとカミングアウトしたら返って来た言葉・態度
私は仕事先の上司にADHDとカミングアウトした後、旦那、旦那の両親、自分の父親にも同じように伝えました。
それぞれの反応は三者三様で、一定の理解を示してくれた人・一切の関わりを見せなかった人・私の話を突っぱねる人など様々でした。
仕事先の上司にカミングアウトした結果
「自分なりには一生懸命やっているつもりなんですが、なかなか思うように覚えられなくて、病院に行ったらADHDと言われました」
「同時に何かをやろうとしたり、覚えるのが苦手ですが、薬も飲んでいるので少しはマシになるとは思うんですが…」
仕事先の上司からは
「話しずらいことを話してくれてありがとう。もし何かしんどいことがあったら言ってね」
と声をかけてもらいました。
その後も時々「大丈夫?」と気をかけてもらったりと、私が辞めるまでの間ADHDだからといって嫌がらせされたり、陰口を言われたりすることはまったくありませんでした。
一緒に暮らしている旦那にADHDとカミングアウトした結果

「前から、一人の時間が欲しいって散々言ってて、何か変わっているなとは思っていたけど…。
病院に行って、それで自分が良かったと思うなら良かったんじゃない?」
元々他人のことは我関せずな旦那なので、カミングアウトしてもあっさりしていました。
ただ旦那の仕事場でも、私と似たような人がたくさんいるという話だったので、「あの人達も実は発達障害だったりするのかな〜」と感慨深げでした。
旦那の両親にADHDとカミングアウトした結果
「また仕事変えたの?」と、ADHDとわかる前に義母に言われたことがありました。
半年~1年働いたら辞めて、数ヶ月休んでまた新しい仕事を始める。
ADHDとわかるまでは、そんな生活を繰り返していました。
長続きしない子だなと思われているかもしれない。
今後旦那の両親とは、更に関わることも増えてくるだろうから…と意を決してカミングアウトすることを決めました。
実はその少し前に、子供が発達障害の可能性があり療育を受けた方がいいと言われていまして。
旦那の両親とは子供の療育について、揉めに揉めていたんです。
「話があるから」と旦那に付き添って貰い、検査結果のコピーも持参していきました。
緊張しながら話して、返ってきた義父から返って来た言葉は
「そんなのどうでもいいから。(コピーの資料も)持って帰って」。
義母は一言も喋りませんでした。
自分の父親にADHDとカミングアウトした結果
父親には病院に行く前に、事前に私の小学校や中学校時代の様子を聞いていました。
もちろん病院に行くことも伝えていました。
当時の娘の様子を振り返っても、「特に育てるのに苦労したとかはなかった」と言っていたんですね。
でも私的には、両親が離婚する中学時代まではあまり父親に関わった記憶がなくて、父子家庭になった時に、どんな風に父親と接していいか距離感が掴めないと思ったことがありました。
そんな父親にカミングアウトしたところ、
「そんなこと気にすることない」「大丈夫だから」
と励まされたような、今の自分の気持ちをやんわりと否定されたような、何とも言えない気持ちになりました。
ADHDとカミングアウトした私が欲しかった言葉
ただ私はこれまでの、今の気持ちを「そうだったんだね、大変だったね」と肯定して欲しかったんです。
今まで自分は普通だと思って、それでも人より劣っているから、補おうと必死に必死に積み化させねてやってきたことを否定して欲しくなかった。
- 理解してくれる人
- 頭から突っぱねて理解してくれない人
- 大丈夫だからと励ましてくれる人
人によって態度は全然違いました。
「ADHDだから何も出来ない、だから後はよろしく!」
というわけではないのに、正直に言わなければ良かったと思える人もいました。
カミングアウトから3年 発達『障害』はまだまだ恥ずかしく劣ったもの
カミングアウトから3年経った最近、家族でいる時に、義母にこんなことを言われました。
「こっちは、じいちゃんばあちゃんだけで手一杯だから、お金はあてにしないで」
文字するとなんてことの無い言葉ですが、私にはトゲのある言葉に聞こえました。
仕事を始めたかと思えば辞め、私にとっては心をリセットする時間も、プラプラ遊んでいるようにしか見えなかったのかもしれません。
自分にとっては、もがいている時間も、周りから見れば「五体満足なのに、仕事が出来ない?甘えでしょ?」としか思われていなかったのかな。
義母は祖父母に対して、私は「●●(既にやめた職場)にまだ働いている」と嘘をついているようだし、『障害』とつくものは世間体が悪いようです。
多くのADHDの人がカミングアウトしない道を選んでいる
ADHDと診断された人の多くは、カミングアウトしない(していない)というアンケート結果も出ています。
確かに私も大事な人には打ち明けましたが、友人・知人にはADHDとカミングアウトしていません。
カミングアウトすることで、その人が私を『発達障害(ADHD)=可哀想』という色眼鏡で接してくることあるかもしれません。
もしかしたら、カミングアウトしたばっかりに疎遠になってしまう可能性も否めません。
職場でも『仕事の出来ないヤツ』が、さらに肩身の狭い思いをしてしまうことも考えられます。
カミングアウトすることで、今よりももっと状況が悪くなりそうなら、カミングアウトしないのは正しい選択だと思います。
まとめ:カミングアウトは必要なのか

この記事では、ADHDとカミングアウトすることで、理解が得られるか・得られないかについて、私の体験談をまとめました。
- パート先の職場の上司→理解してくれた
- 旦那→理解してくれた
- 旦那の両親→理解されなかった
- 自分の父親→理解されたような、されないような…
ADHDと、発達障害と診断されたから、カミングアウトしなければならないということはありません。
世の中には、カミングアウトせずに暮らしている人もたくさんいます。
それでもカミングアウトする場合は、すべての人が理解してくれるわけではないということを頭に入れておきましょう。
それでも自分の中だけで溜めておくのはツラいこともありますよね。
- 誰かに言って吐き出したい
- でも自分のことを全然知らない人がいい
- 話し相手になって欲しい
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何と!精神科の看護師さんも多数いるので、ADHDや発達障害に関して相談しやすいんじゃないかと思います。
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